甚大な被害をもたらした台風19号が上陸してから12日で1カ月を迎える。長野県では千曲川などが氾濫するなどして5人が死亡し、いまだに807人が避難所生活を余儀なくされている。本格的な冬の到来を控え、避難生活の負担に起因する「災害関連死」がないよう、保健師による健康管理の徹底など、被災者に寄り添った施策を講じることが求められている。(松本浩史、写真も)
8日に開かれた県災害対策本部のまとめによると、同日午前10時現在、避難所で生活している被災者は長野市で695人、須坂市で107人、千曲市で5人。須坂は10日、千曲は11日に避難所を閉鎖する方針だ。長野市は閉鎖を30日としているが、「あくまで目標であり、方針通りに閉鎖できるのか分からない」(県幹部)のが実情だ。
県では、避難生活が長引くことで、被災者の健康状態が悪化することに強い危機感を持っており、災害関連死の原因になりかねないインフルエンザなど感染症の流行を防ぐため、避難所で予防接種などを実施。また、エコノミークラス症候群への対策として、軽い運動や水分補給をするよう呼びかけるなどの対応もしている。
台風19号による死者数は5人で、災害関連死と認定された被災者は確認されていない。それでも県は「発災から時間がたてばたつほど、緊張していた気持ちが緩んで、体調に変調を来しかねない」と、万全の態勢を敷いて予防に当たるとしている。
万が一に備え県は、災害関連死の遺族には最大500万円の災害弔慰金が支給されることなどを記した支援策のガイドブックを県内の全市町村に配布した。警察、消防が死因と災害との因果関係を確認し、判然としなければ、医師や弁護士ら4~7人でつくる支給審査委員会が各市町村に設置され、そこで判断されることなども説明されている。
災害関連死の例としては、けがの悪化をはじめ、避難所生活でのストレスや疲労による疾患、交通事故などがあげられる。県災害対策本部の関係者は「特に、体の不自由な方や高齢者ら『要配慮者』は、ホテルなどに移り、良好な生活環境の中で暮らすようにしてもらいたい」と話している。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース